「マルチコア」タグアーカイブ

Raspberry Pi Pico バーサライタ解像度向上 (C/マルチコア) ーRaspberry Pi Picoへの道7ー

前回はRaspberry Pi Pico を用いてバーサライタを製作しました。

Raspberry Pi Pico でバーサライタ製作 (C/C++) ーRaspberry Pi Picoへの道6ー

ここでは、表示映像の解像度向上のためにSPI複数出力とデュアルコア動作を検証しましたので報告します。

 

 

SPI複数出力

Raspberry Pi Pico にはハードウェアSPI端子が2個あります (SPI0, SPI1)。

 

この2つのSPI端子でそれぞれLEDテープを制御してみました。

 

Cコード

PIO

SPI入力LEDをPIOなる機能で点灯制御しているのですが、2本制御の際はステートマシンなるモノを分けて使用するとよいようです。

PIOブロックは2個内蔵 (pio0, pio1)され、それぞれにステートマシン4個搭載されています (sm0~3)。

 
ここではpio0のsm0でSPI0を、sm1でSPI1を制御して2本のLEDを点灯しました。
 

狭ピッチバーサライタ

以前製作した狭ピッチのLEDバーサライタをRaspberry Pi Picoで制御してみます。

APA102-2020の再考 - バーサライタへの応用 –

このLEDはリフレッシュレートが低いためRGBそれぞれをフル輝度で使用しなくてはならず8色しか出力できませんが
2mm角のLEDが狭ピッチで配置されていますので解像度向上実験にはもってこいです。

構成

2つのSPI出力でLEDを64セル, 63セルずつ制御します。

 

 

動作

先ほどと同様に2個のSPI出力で制御し、回転速度470rpmで回してみたところ、計127個のLEDを1周 240分割で表示できました。

 

ESP32のデュアルコア制御でも200分割が限界でしたので、やはりRaspberry Pi Pico の高速IOは素晴らしいです。

 

デュアルコア制御

Raspberry Pi PicoはCortex-M0+を2個搭載しています。
更なる高解像表示を目指してデュアルコア制御を試します。

Cコード

core0で回転速度計測とSPI0のLED制御し、
core1でSPI1のLED制御しています。

 

しかし、

デュアルコアでの1周の分割数の向上は確認できませんでした。。。
core1でのLED点灯制御は確実にできていると思うのですが。

core1の動かし方に何か問題があるのでしょうか?

参考

 

画像表示

浮世絵を表示してみました。
シングルでもデュアルでも1周240分割以上にすると表示がおかしくなります。

シングルコア

 

デュアルコア

 

 

おわりに

ここではRaspberry Pi Picoを用いて狭ピッチLEDバーサライタを製作しました。
高解像表示を目指しましたがデュアルコアによる向上は達成されませんでした。

しかしLED 127個で1周 240分割は過去最大の分解能ですので、ひとまず嬉しいです。

 

デュアルコアはについては引き続き勉強します。なにか間違ってるかもしれません。

それでは次の道でお会いしましょう!

 

追記

回転検出部を別コア化(2021/2/17)

以下のブログでPIOで別ステートマシンでのLED制御がすでに並列処理されているために、
デュアルコアによる表示解像度の向上がなかったことがわかりました。

Raspberry Pi Pico バーサライタで PIO を考えるーRaspberry Pi Picoへの道8ー

そこでステートマシンでの並列処理については理解できたので、LED制御と回転計測をデュアルコアで試してみました。

以下のようにcore0で回転計測、core1でPIOのステートマシン2個でLED(64セル、63セル)を制御してみます。

 

結果としましては大きな分解能向上はありませんでした。
1周 240分解能がギリギリ260分割できそうになるくらいの変化でした。

 

ステートマシンが完全に並列処理できていて、回転が470rpm、SPI信号が30MHzの場合、理論分解能値はだいたい
 30MHz ÷ (32bit × 64セル + 64bit) × 60sec ÷ 470rpm = 1813分割
ですので、SPIクロックが遅すぎることはないようです。

まだまだデータ転送方法など工夫次第で高解像度化できそうですが、とにかくPIOは素晴らしいということがわかりました。

SPRESENSE のマルチコアプログラミングで バーサライタ

ついにSPRESENSE にArduino IDEでのマルチコアプログラミング環境が誕生しました。

 

前回SPRESENSEを使用して製作したバーサライタ(POVディスプレイ)にマルチコアを導入してどれほどの高速動作が達成されるのか観てみました!

スマート靴占い 『 IしたoTんきになぁ〜れ 』

 

 

マルチコアプログラミング

SPRESENSEは6つのCPUを搭載しております。Arduino  IDE環境でのプログラミング詳細は以下の公式のドキュメントの記載の通りです。

 
MPライブラリというマルチコア用のライブラリが今回追加となりました。Mainコアと5つのSubコアの制御やコア間の通信を司ります。

コアごとにArduinoプログラムを用意して、コアを指定してコンパイルというなかなかの力技です(;^ω^)

構成の概要

3つのCPUを使用してバーサライタしてみました。

  • Mainコア:フォトリフレクタで回転を検出して2つのSubコアに発光タイミングを送信
  • Sub1, 2コア:Mainコアからのタイミングを受けてSPIテープLED Dotstarを発光

 

Arduino IDEコード

Mainコア

フォトリフレクタでバーサライタ装置のマーカを検出して割り込みで回転時間を測定してMP.Send関数で表示すべき画像のアドレスを各Subコアに渡しています。

コア間でメモリが共有されているので表示データのアドレスだけを渡しています。

 

LED表示画像データ graphics.h は画像やGIFからpythonで生成しています。画像の色データを極座標変換してLED用に配列にしています。またLED位置によって輝度を線型的に調整してバーサライタ表示時に明るさが均等になるようにしています。Divで1周当たりの画像分解能を指定しています。

 

Sub1コア

Mainコアからの画像アドレスをMP.Recv関数で受けてLED発光させます。MP.RecvTimeout関数でデータ受信の待ちモードを指定しており、ここではMP_RECV_BLOCKINGでデータを受信するまで永久に受信待ちに入るモードにしています。

Adafruitが提供するライブラリのハードウェアSPI使用では拡張ボードのSPI4しか使用できないためAdafruit_DotStar.cpp と Adafruit_DotStar.h をメインボード用に改造して
Adafruit_DotStar_SPI5.h、Adafruit_DotStar_SPI5.cpp
をつくってSPI5でLEDテープを制御できるようにしました。

 

Sub2コア

Mainコアからの画像アドレスをMP.Recv関数で受けてSPI4でLEDテープを発光させます。

 

 

動作

1コアから3コアにすることで1周での画像分解能が120から400にまで向上しました!わーい!!

性能指数:LED 57個 × 回転速度 730rpm × 400分解能 ÷ 100 = 166440 hPOV

 
ちなみに性能指数とはバーサライタの性能を示す独自の指標です。

 性能指数  [hPOV(ヘクトポブ)] = LED数 × 回転数 × 一周の分解能 ÷ 100

次は今回のアップデートでフラッシュメモリへの読み書きのライブラリも追加されたので長尺の動画表示にトライしたいです。

マルチコアへの道

シングルコア

性能指数:LED 58個 × 回転速度 730rpm × 120分解能 ÷ 100 = 50808 hPOV

デュアルコア

性能指数:LED 58個 × 回転速度 730rpm × 220分解能 ÷ 100 = 93148 hPOV

その後の話

フラッシュ仕様検討

分解能が上がったことによって表示データが大きくなり、現状ですと5フレームしか書き込めない状態です。

SPRESENSEのコンパイルされたコードはフラッシュメモリにインストールされ、実行されるときにSRAMに展開されて実行されます。
SRAMは1.5MBのうちのMineコアが768kB、Subコアが128kB割り当てられます。

表示データに使用できる容量はSRAMサイズを超えられないのです。。。

そこで8MBもあるフラッシュを有効に使用できないか検討しました。
Fileライブラリを使用するとフラッシュにファイル形式でデータを保存できます。

そこで表示データ(LED57個 × 分解能400の32ビットデータ)をテキストデータとしてフラッシュに保存して、再度読み込んで配列にする実験をしました。
テキストデータを1文字づつ読んで32ビット分で文字列にして16進数に変換して配列化しました。

1フレーム分の配列を読み込むのに3分20秒もかかりました。。。。

マルチコアで読み込んで配列生成しながら、長尺の動画を表示したかったのですが時間がかかり過ぎのため断念しました。。。

参考

装置構成の変更

2本のLEDテープの配置を2本平行ではなく、1直線に並べました。回転の際の表示のずれを抑えるためです。

 

ずれが軽減され精度が増しました。でももっとやりたくなっちゃう。。キリがないww

 

さいごに

今回のSPRESENSEバージョンアップによってバーサライタの性能が大きく向上しました。

いつかフラッシュメモリの使用も気軽にできるようになるかと思います。今回のバージョンアップのように。

祈りを込めて。。。

そして バーサライタ装置をステージ上にそっと置き
 地を引きずりながら漂う煙のようにその場を後にした。

しかし その表情はどこか誇らしげであったという